相談所の種類


           =目次=


精神科・神経科、心療内科

**科という具合に、病院(診療所)にはいろんな呼び名がありますが、名前にこだわる必要はあまりありません。問題は、どんな治療を行っているかという中味です。強いてあげるとすれば、心療内科は心の問題も扱える内科、という特徴があるでしょう。が、最近は、呼び方と中味はあまり関係がありません。医師ならば、当然、心の問題の他に身体の問題にも注目できるので、仮に専門でなければ、専門医を紹介できるというネットワークを用意しているものです。相談所に選ぶための簡単なポイントをいくつか以下にあげます。


病院かクリニックか?

入院ができるベッドを保有している医院を病院、その他をクリニック(診療所)と呼びます。場合によっては入院ができる方が治療にはよいことがあるので、初診を病院で受ける方が手間が省ける利点があります。そうでないか、あるいは入院が必要になるかどうか判断に迷う場合は、手軽に行けるクリニックが良いでしょう。また、クリニックには『いかにも精神病院』という雰囲気がなく、町医者と言うように街中にあることも多く、人目が気になるという場合には利用しやすいでしょう。

カウンセリングやサイコセラピー等の相談面接をきちんとやっているかどうか?

相談に行くわけですから、当然、きちんと時間をとって話を聞いてもらいたいものです。ところが、医者の考え方や経験の違いで、相談面接をやらないで薬物療法中心でやるところがあります。あるいは、カウンセリングをやると言っても、せいぜい3〜5分程度の時間しかとらない所もあります。各々の症状に合わせた専門家的な判断でそうする場合もあり、一概にそれが悪いとは言えませんが、中には医師にカウンセリングやサイコセラピーの経験や実力がないだけの場合もありますので、気をつけておく必要があるでしょう。およそ30分〜1時間の面接相談時間をとるところが普通です。また、専門の相談員(臨床心理士など)がいるところも少なくありません。

相談面接に健康保険が使えるか?

たいていは、相談面接を受ける場合も健康保険が使えますが、中には民間の相談所と同額程度の自費となっているところがありますので、前もって確認しておく必要があります。
また、一般の相談ではありませんが、精神障害者が入院ではなく(通院)精神障害の医療を受ける場合、医療費公費負担制度(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第32条)というものがあり、5%の自己負担で医療が受けられることになっています。詳細は最寄り保健所へ問い合わせてみて下さい。
また、生活保護者が受診できるところもあります。

混んでいるかどうか?

評判のいいところの方が・・と思うのが正直なところでしょうが、現実的な問題があります。大病院や有名な精神科医のいるところは、当然、誰もが受診したいと思って集まってきますから、かなり混んでしまいます。午前中いっぱい受付にかかって、ほんの十数分の面接相談しかしてもらえなかった・・・という話も少なからず聞きます。要は、どこまで我慢強く待てるかです。もし、何時間も待たされるのは嫌だというのであれば、予約制のところか、そんなに有名でないところ(で、力のある臨床家がいるところもあります)や、交通の便があまりよさそうでないところなどを利用するとよいでしょう。


以上のポイントをあらかじめ踏まえて、相談所を探すとよいでしょう。なお、電話帳や104(NTT)で調べられますが、各地にある公的機関(医療機関ではない)精神保健福祉センターでも教えてくれます。


民間のカウンセリング、サイコセラピー

まず始めに、カウンセリングとサイコセラピー(心理療法または精神療法)の違いとは何かということですが、結論から言ってそれほどはっきりとした違いがあるわけではありません。強いてあげるならば、カウンセリングは、医療のみならず、教育、産業など様々な分野で行われ、治療という明確な目標はあまり持たず、どちらかと言えば、気持ちや考えの整理を援助するといった傾向があるのに対し、サイコセラピーは、主に精神医療の分野で用いられ、各々の療法の立場考え方・人間観に根ざした一定の治療理論を持ち、それに基づいて言語・非言語的な働きかけ(操作)が行われる、といった特徴があります。ただ、実際に両者は、多くの面で重なり合っています。

カウンセリングに従事する面接者をカウンセラー、サイコセラピーに従事する面接者をセラピストと区別して呼ぶ場合もありますが、ただ肩書だけで専門家を標榜する者も紛れている場合があり、利用者としてはその辺りを十分、見極めたいものです。


民間の相談機関の主な特徴

まず、民間であることで注意しなければならないのは、次の2点の絞られます。ほとんどが有料であることと、どれだけの実力があるか不明確な場合が多い、という点です。

有料であること

だいたいの相場として、1時間あたり5000円〜1万円のところが大半です。これを毎週やることになると、毎月4万、半年やっても30万弱と、手軽に利用できると言うにはあまりに無理のあるのが現状と言えます。現実的な問題として、利用者は民間の相談所を利用する前に、まずは自分の財布の中味と相談していなければなりません。
なぜ、こんなに高価なのか?有料だから優良だとか、高価だから効果があるといったジョークで済まされない問題があります。カウンセリングやサイコセラピーが米国などの西洋から輸入されたものであること、彼らは契約の考え方が文化的にしっかりしていること、しかも弁護士などの専門家を利用する機会も多く、専門家に相談依頼する場合の費用について、ある程度はっきりとした慣習的ベースラインがあったことなどが影響しているのかもしれません。

しかし、我が国で果たしてどれだけの人が欧米人と同じような感覚でいられるでしょうか?米国ではサイコセラピーの一つ、精神分析を受けることが一つのステータスシンボルでもあると言われることがありますが、そうだとすると、カウンセリングやサイコセラピーは、経済的にごく恵まれた人しか利用できないということでしょうか?もちろん、心の悩みはお金持ちであろうがそうでなかろうが、関係なく誰にでも起こり得ます。ならば、利用する側の意見として、もっと平均的な一般人が利用しやすい常識的な額であって欲しいと願います。

医師ではないカウンセラーやセラピストは、企業人や組織人でない場合も多く、身分も収入も不安定だということが少なくありません。彼らもボランティアでやっているわけでなく、生活がかかっているわけですから、現状ではポピュラーでもない相談の料金を引き下げるには難しい問題があるでしょう。結局、利用者がまた限られる・・・といった悪循環に陥るわけです。ただし、中には利用者の経済状況に合わせた柔軟な料金設定に応じてくれる良心的な相談所もありますから、心配な場合は前もって聞いてみるとよいでしょう。

実力の有無

民間相談所の実力には、正直言ってピンからキリまであると言わざるを得ません。問題は、どうやって良い相談所を選ぶかですが、悪徳療法に気をつける!を参照して下さい。


以上のポイントをあらかじめ踏まえて、相談所を探すとよいでしょう。なお、電話帳や104(NTT)で調べられます。

公的相談機関

公的相談機関の利点は、民間ほど料金が高価でなく、相談に応じてくれること(無料の場合もある)や、他の公的機関などとのネットワークが充実していることでしょう。医療や教育、産業の分野それぞれに用意されています。

保健所
各地域にあります。一般に、身体的な保健衛生の問題を扱う公的機関と知られていますが、「こころの健康」の分野でも、専門医や心理学や福祉を専門とした精神保健福祉相談員、保健婦などによる精神保健福祉相談を行っています(治療的なものではありません)。最近では法の改正もあって、精神衛生や予防というより、福祉に重点を置いた活動が活発になってきています。精神障害者が社会復帰するための情報提供・相談は、地域保健所が最も得意とするところです。それ以外にも、民間機関の不足している地域の「こころの悩み相談」一般に対応できる事実上の第一線機関として活躍しています。

また、保健婦が常駐していて訪問を行えるというフットワークのよさが特徴で、精神病など医療的ケア・保護が必要な場合に頼りになります。言動がどうもおかしく病気が心配だというとき、本人は相談や病院に行きたがらないで困った、という場合は、保健所に相談するのが最も早道です。

ただし、曜日によって相談日が決まっている場合が多いので、詳細は直接問い合わせてください。

精神保健福祉センター
やはり公的機関で、各都道府県立の名称通り、精神保健福祉に関する情報提供、相談、技術協力、精神障害者のための通所・入所訓練を行っています。
精神・心理的な相談では、電話相談、面接相談が利用できます。治療的な相談ではありませんが、気軽に相談できる点で、精神科に行くのに抵抗のある人や、民間に通う程の経済的余裕のない人には、便利な存在です。また、どういう相談所を利用するのがよいか等の紹介もしてくれます。地域によっては、思春期、アルコール、老人などの特定相談に関してプログラムを用意しているところもあります。

児童相談所
児童についてのあらゆる相談を受け付けています。心理診断、判定、面接相談、電話相談、宿泊治療指導、巡回相談・出張診断まで、幅広くこなすところです。

教育研究所・相談所
不登校やいじめを含めた教育にかかわる相談をしています。子供本人や保護者の相談・カウンセリングを行い、時には学校と連絡をとりながら改善してゆきます。

女性相談所(センター)
女性(母親)が、夫婦、男女、家族などの問題を相談するところです。専門の相談員がおり、医学・心理的な判定、電話相談、カウンセリングを行っています。緊急避難的な保護施設も用意しています。

職業安定所(ハローワーク)
職業紹介所というイメージが強いのですが、職業・職場での問題、職業適性や選択での悩みなど、心の悩み相談にも関わる問題でも、専門の相談員が対応してくれます。

自助グループ・家族会

自助グループは、同じ悩みを持つ者同士が自由に集い、互いの体験を語りあうところです。AA(アルコホリック・アノニマス)などのアノニマス・グループ(無名集団。参加者は自分の身分や名を明かす必要がない。運営も寄付だけでまかなっており、非営利・非組織化が徹底している)が最も代表的です。また、アルコール依存症や摂食障害者、精神障害者など、悩む本人ではなく、その親や子供、兄弟などの家族の集う自助グループもあります。以下に、代表的な団体を挙げます。現時点では連絡先を直接掲載しませんので、電話番号案内や各都道府県にある精神保健福祉センターや地域の保健所に問い合わせてください。

アルコール依存症関連

AA(アルコホリック・アノニマス) アルコール依存症者のための自助グループ。全国にある。

断酒会
AAをモデルに作られた我が国独自の自助グループ。 AAよりは組織化されている。全国にある。

アラノン
アルコール依存症者の家族のための自助グループ。

JACA(日本アダルト・チルドレンズ・アソシエーション) アルコール依存症の親を持ち育った者(アダルトチルドレン)のための集まり。

摂食障害関連
その他
AKK(アディクション問題を考える会)
嗜癖(しへき)に関わる問題を扱っている。アルコール、摂食の他、 虐待女性(バタード・ウーマン)問題にも対応している。電話相談有。

NA 薬物依存のアノニマスグループ

DARC(ドラッグ・アディクション・リハビリテーション・センター) 薬物依存症に苦しむ人のための、AA自助グループの方法にのっとった回復施設。全国で十数箇所ある。「薬物依存」近藤恒夫著、大海社に詳しい紹介があり参考になる。

GA(ギャンブラーズ・アノニマス)
やはりアノニマスグループ。AKKより派生している。

SSA
児童期に性的虐待の被害を受けた女性たちの集まり。 AKKより派生しているらしい。